Open Garden

カウベル母娘の挑戦

憧れのオープンガーデン。(その4)


 普段の我家は、それぞれが思い思いに行動をして、なかなかまとまらない。
ところが、さすがにこの日は皆が結束した。孫を含めたファミリーの協力体制が効を奏したことに、「よかった!やればできるものネ!」とカミさんはご満悦だった。

 僅か4時間余りのイベントにすぎなかったのだが、初めての「オープンガーデン」という貴重な体験は、勇気が勇気を呼び、更なる新しい体験へつながってゆくことになる。

 初オープンが済んだ数日後、再び庭番モグラさんからメールが届いた。
「オープンガーデンみやぎ<ヘルプ1>のO会長と、兵庫県の三田花と緑のネットワーク、T会長ご夫妻が、YB岡山の状況を見に来られますのでご案内します。お宅をコースに入れてもよろしいか?」というものだった。

 「....もう喜んで!その折には我庭でみなさんにアフタヌーンティーでおもてなしをさせていただきましょう。苺も熟れておりますし!」
こんな光栄なことはない。初めてのオープン体験で培われた勇気が、そう回答させたのだった。

 好天に恵まれた5月11日の昼下がり、さわやかな緑風が通り抜ける自宅庭の木陰で、遠来のお客さま方を迎え、和やかで楽しいティータイムをもつことができた。
 片田舎にあるビギナーの庭に、その道ベテランのお客さま方をお迎えできることになろうとは、夢にも思ってみなかった。
さらに、この出会いがきっかけとなって、素晴らしい「オープンガーデン」を見学させて頂くことになろうとは!


☆ ホスピタリティーの精神。

5月11日の自宅庭。爽やかな緑風が遠来のお客さまを歓迎する。

 取柄のない庭を、真心だけでカバーしてお迎えしたにもかかわらず、皆様から丁重なお礼のメールをいただき、かえって恐縮した。

 そのメールの中で嬉しい言葉をいただいた。
「ご案内くださったモグラさんご夫妻をはじめYB岡山のみなさまによるホスピタリティーの精神は何よりも素晴らしかった。」
 この言葉を忘れられない。これこそ、「オープンガーデン」に必須の精神であることを逆に教えていただいたような気がする。

 そして、我々の庭にも是非お越しください、と「三田オープンガーデン」の案内状が添えられていた。

☆ ガーデニングの街「三田」

 兵庫県三田市は神戸市の北端に隣接し、十数年前から阪神のベッドタウンとして発展している。裏六甲が一望出来る、山間の風光明媚な場所に、「フラワータウン」「ウッディタウン」といった、おしゃれな住宅街が建設され、「あかしあ台」「すずかけ台」「マロニエ橋」というような、ガーデニング愛好者には堪えられない呼称がいたるところで見受けられる。
おしゃれな住宅街は訪問者の注目の的だ。
(ウッディタウンゆりのき台で)
 Tさんを中心としたグループのご努力で、この街で「オープンガーデン」が始まり、今年で3年目を迎えられた。なんと公開庭は87軒にも及ぶ規模に発展し、三田まちなみガーデンショーのメインイベントとして、市当局も4台の巡回バスを走らせて、この個人庭公開を支援している。

☆ 「オープンガーデン」の魅力。


 6月4日、カミさんと娘にお供して、おとうさんは三田を訪れた。
10数年前、神戸が勤務地であったおとうさんが、休日によくプレーしたゴルフ場が周辺に点在していて懐かしいところである。

 すべての公開庭を拝見するには時間が足りなくて、とても残念であった。けれども自宅庭にお越し下さった方々のお庭は拝見させていただけた。
 母娘共々おとうさんも、もうかなり魅せられて強烈な刺激を受けてしまった。

 どのお宅も、ガーデニングをエンジョイしている暮らし振り、そのこだわりは、とても我家のそれとは比較にならないほどのすごさである。
個有のライフスタイルを象徴するかのような庭、庭、庭!
公共の公園や植物園を訪れるのとは違って、個人庭はめったに入ることの出来ない未知の世界である。

 そのプライベートな庭に入ると庭主特有の絵心やアイデアや果ては暮らし方までを、庭を通して目の当たりにする。
そして、庭主のこころが、見せていただく側に伝わってくるようだ。
オープンガーデンの魅力はここにあり!
三田を訪れてそう思った。

☆ 庭というオアシス。

T邸の庭の小径は訪問者を奥へと誘う。 井戸水が涌くT邸の奥庭はまるでオアシスのようだ。
 あかしあ台は、その名のとおり閑静で美しい住宅街である。
その一角にリーダーTご夫妻の邸宅がある。「庭が庭を作ってくれた、四季を感じる自然風の庭」とご説明があるように、年月とともに気品と風格が備わったみごとなお庭である。ご夫妻の細やかな愛情が庭の隅々まで注がれていることが分かる。

 そんな庭の小径を進んで、すこし奥まったところに井戸があり、その湧き水が心地よい音色を響かせている。
この庭は、「砂漠」のように殺伐とした喧騒の都会で疲れた身心を、優しく癒してくれる「オアシス」のようだ。庭奥に置かれたガーデンチェアーに掛けさせていただいて、ふとそう思った。

 プライベートな庭のあるべき姿形とは?
おとうさんは「庭もひとつの生活空間」と考えて、これまで探求して止まなかった、その理想のスタイルを見せて頂いた。

☆ 季節と暮らすこだわりの数々。

自然に囲まれたK邸の広大な菜園。
 旧三田市街から山の手に入ったところにKご夫妻の邸宅がある。
なだらかな丘陵の自然林の中に、深山幽谷の趣をもった地形がある。
その地形を有効に生かした邸宅やお庭の、四季折々を楽しみながら暮らす徹底したこだわりが、訪問者<ヘルプ2>を圧倒する。幽谷に張り出す広いウッドデッキ、囲炉裏のある山荘風の和室などがギャラリーの目をひく。

 「三田の冬は寒いんですよ!」とご主人。そのために暖房に対する備えも万全である。300坪以上はあろうかと思われる野菜園を見せて頂いた。

 雑草1本もない畑には、丹精に育てられた夏野菜が見事である。
最も驚いたのは、畑のほとりに整然と積み上げられた大量の薪木であった。
「不要の太木を引き取って薪割りは全部ぼくがやります!」とご主人。
「暖炉を焚く生活が夢でした。これで冬が快適ですよ!」そう言われて広いリビングルームに設置された、格調のある鉄製の大きな暖炉を見せてくださった。

 自然の中で季節を満喫しながら暮らす、K夫妻のこのライフスタイルに、おとうさんはもう脱帽である。

☆ 空中に浮かぶ夢の花園。

眺望抜群、Y邸のバルコニーは夢の花園だ。
 神鉄「フラワータウン駅」の南、小屋ケ谷公園の辺に高層マンション群がある。その1棟の最上階にYご夫妻のお住まいがあった。まず右の画像をご覧下さい。Y夫人が丹精に育てた植栽200鉢以上が並んでいる。

 最近、屋上やベランダでのガーデニングが、外国並みに盛んになった話は聞くが、こんな見事な大型バルコニーのコンテナガーデンは初めてお目にかかる。Y夫人はバルコニーガーデンコンテストに見事優勝!地元新聞社から豪州旅行をプレゼントされたほどの腕前とこだわりである。

 この最上階より眺望するロケーションはまた格別である。裏六甲のなだらかな山麓が広がり、広大なゴルフコースが方々に点在する様は圧巻だ。
 神戸北区の中心、藤原台の超高層マンション群を遠望していると、「あそこはNYのマンハッタンです!いい眺めでしょう」とご主人。
  わぉ〜!この感覚におとうさんはもう感激!

  街路樹の美しい岡山市のメイン通りをNYのパークアベニューと思ったり、川幅が似ている旭川を、セーヌ川だと思って河畔を通勤するおとうさんの感覚にピタリと符合する。愉しきかな夢のある暮らし。Yご夫妻に乾杯!。

☆ 体験して分かった「オープンガーデン」の歓び。

 YB岡山HPを見ていると、イギリスの「オープンガーデン」という文化が、日本の各地で年々盛んになってきた様子がよく分かる。

 カウベル母娘が憧れていた「オープンガーデン」は、体験することで更に新しい体験へと道が開け、勇気は更に次の勇気を生み出した。
 そのおかげで三田を訪れることが出来て、刺激をいっぱい頂き、認識を新たにした。

 庭による心の交流の輪が広がり、環境美化を促進する。こうした大きな意義のあることも知った。
迎える側のホスピタリティーの精神、訪れる側の節度あるマナー、こうした心構えが大切であることも実感した。
おしゃれな物干し台を兼ねたパーゴラ。生活に密着したアイデアだ。(三田のある公開庭で)


 カミさんもそうだが、おとうさんの世代は、戦火による貧困の時代から汗と希望の物の時代、そして平和とゆとりの心の時代へと変遷していまがある。

 庭を心のよりどころにした、この平和な暮らしはまだ年月が浅いわけだが、こんなゆとりのある時代が、可愛いい孫たちの世代へとつづくことを祈らずにはいられない。
 その願いとともに、「オープンガーデン」というイベントが、イギリスのように、慈善というチャリティーの精神を織り込んだ文化となって、日本の各地に根付く日がくることを期待して、岡山の片田舎から声援を送りたいと思うようになった。

 もちろん、ガーデニング好きでありながら、未体験のあなた?!
その勇気と決断に期待してますよぅ〜!!

(三田のT会長さん、宮城のO会長さんありがとうございました。オープンガーデンの益々のご発展を祈っておりま〜す!)(^^)v




<ヘルプ1>
 YB岡山ホームページ、オープンガーデン情報の「オープンガーデンみやぎの活動、その1その2」をご参照。

<ヘルプ2>
 「1日に300名ほどのお客さまです」とK夫人。因みに三田の公開庭のお宅では、紙コップによる麦茶の接待方式に統一されている。1日数百名の訪問客の応対はそれでも大変である。


“体験することで更に新しい体験へと道が開け、勇気は更に次の勇気を生み出した。”
カウベルさんから、力強い後押しを頂きました。
さあ、あなたも思い切って体験してみませんか?・・・(モグラ)

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憧れのオープンガーデン(その1) (その2) (その3) (その4)
第1話 出雲路の旅 第2話 土佐浜街道 第3話 デジカメ探訪 

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