花と緑のボランティアネットメリーポピンズ

 兵庫県宝塚市で、福祉施設などの庭園を拠点に活動する、園芸ボランティア・ネット「メリーポピンズの会」。会の発足は1996年。ご近所の有志と瓦礫のまま放置された「逆瀬台デイサービスセンター」の庭づくりを開始しました。

 発足当初は困難の連続で、ツルハシで石を掘り起こす、花壇用の石を逆瀬川から拾ってくる。…ツルハシも壊れる難作業でした。でも、それがヨカッタ。
 ボランティア活動に男性は入りにくいものですが、ここには男性陣の活躍する場がいっぱいあったのです。全会員の1/3に当たる男性会員の積極的な参加によって、堆肥作り、トレリスやディスプレイ作りのDIY、写真記録など、「なんでも手作り」が基本です。

 「ボランティアで一番大切なことは“心を開くこと”。健康で元気に、仲間をつくって支え合うことが楽しい」とおっしゃるメンバーが播いた一粒の種があちこちで実を結び、いまは6つのグループがネットを組んで活動しています。

メリーポピンズの会代表 大日向 郁夫さんにお誘い頂き、真夏のオープンガーデンに行ってきました。

逆瀬台デイサービスセンター「メリーポピンズの庭」 ◎
 オープンガーデンは春〜初夏が中心ですが、あえて真夏の8月23日(木)〜25日(土)にオープンされた“真夏に強い花壇”をご紹介します。
 夏の庭はほとんど熱帯といえる日本で、独自のスタイルを作り出すことに挑戦され、さまざまの実験を繰り返されています。



「グランドカバーを試験的に栽培しているんですよ。」
と、熱く語ってくれた「大日向さん」

庭の向こう側に「カンナ」「葉けいとう」「野けいとう」など背丈の高い植物を、手前に「白妙菊」「トレニア」などを配置し、デイサービスセンターの中から見た人が、次第に目線を上げて行くような工夫をされています。

「ニコチアナ」はピンクと薄い緑の2色を組み合わせ。
毎日の水やりを怠らないために作ったコーナー

「カンナの評判が良くて、開花を楽しみにしてくれるんですよ」。「ヒマ(ひまし油の原料)」や「クレオメ」と一緒に

ひまわり(大雪山) 「来年は黄色の庭を造りたい」と、
すでに来年の構想が着々と…

「葉けいとう」と「野けいとう」
施設の2階が地域福祉活動の場になっています。

毎年1万鉢の苗を栽培、この収益を活動資金に。ケースの上に並んだ苗は、地元の中学校に植えられます。

ご自慢の花鉢を出品して頂く「わたしの一鉢」は、春の花まつりの名物になっています。(春の花まつり風景)

メリーポピンズの会に所属する6っつのグループが、デイサービスセンター、児童館、学校などの花壇を育てています。
この費用は、タネから育てた花苗の販売収益で賄われていて、メリーポピンズの会は、それを誇りに思っています。

“メリーポピンズの会”の皆さま、ありがとうございました。岡山にもまたお越し下さい。

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メリーポピンズの会(市民園芸ネット)のニューズレター
花と緑のボランティアネット「メリーポピンズ」に寄稿文が掲載されました。

オープンガーデンがくれた贈り物

 「えっ、真夏のオープンガーデン?・・」大日向さんから8月下旬のオープンガーデンに誘われ、まず驚きました。例年にも増して暑さの厳しかった今年、我が家の庭では枯れたり葉焼けした草花も多く、「この時期どんな庭を見せてもらえるのかな」と期待に胸がふくらみました。

 実際に庭を拝見してまた驚き。ここでは、植物が何といきいきと咲き誇っていることか。植栽の多彩さ、銅葉、黄花など日差しに負けない花色や葉色の組み合わせに加え、メンテナンスの素晴らしさに感動しました。良く観察すると、カンナ、ニューサイランなど耐寒性にも優れた宿根草などの他は、1年草が殆どで春の花が終わった頃に思い切って一気に植え替えられていることが分かります。デイの中から眺める高齢者のため、クレオメ、ヒマ、葉ゲイトウなど日本で古くから育てられてきた馴染みのある植物を多用していること。視線が上向きになるよう高性植物を奥側に植えるなど、細やかな配慮が感じられて感銘を受けました。ふと、グレートディクスターのエキゾチックガーデンを思い出したほどです。

 わたくしたちは1999年春、近所の3軒でオープンガーデンをやってみました。その際お越し下さった方々に呼びかけて、小さなコミュニケーションの場として公開する庭、オープンガーデンを目指しており将来されるであろう庭の情報誌《イエローブック岡山》を発刊したのです。岡山でも今年あちこちでオープンされましたが、時期はどこも《春》。「メリーポピンズ逆瀬台、真夏のオープンガーデン」にはアッと驚かされました。こんな素敵な庭づくりをされた皆さんの情熱と努力に頭が下がります。

 夕方の風が爽やかに吹き抜ける藤棚の下、今日も沢山の出会いがありました。初対面の皆さんと「こんにちは!」、「遠くからようこそ!」と何年来の友のように挨拶を交わしたのです。オープンガーデンの楽しさは、花や庭づくりを通した出会いにあります。お互いの庭を訪ね合うことで、出会いが生まれ、「今度は我が庭にもどうぞ」という自然な会話が広がります。《オープンガーデン》を通じてこうしたネットワークが広がり、お友達の輪、話、和!が親交していく。この素晴らしさ!!!これぞ最高の贈り物です。

                              イエローブック岡山 西原 哲也・吉田 陽一 共同執筆

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