カウベル母娘の「庭めぐり旅日記」

第4話 喰いしんぼうの A・LA・CARTE!

(その1)「祖国」とは何だ!?という問いに応える?


おしながき

2本の鐘突塔のあった旧ザビエル聖堂は1991年火災で焼失した。新聖堂の庭に旧聖堂の鐘が置かれている。

 あらマァ、正月早々大きく出ましたなぁ〜!大丈夫??(^^ゞ
ん!?正月ボケかも知れんてのぉ? だって、あのN県のT知事さんだって大きく出ましたぞ。
1州1道1都2府○○県構想。\(◎o◎)/!

そのうち日本だってアメリカ合衆国並み、横文字の州が誕生してもおかしくない。「サウスマスカット州」なんてどうですか?海外旅行気分になりますぜ!

さてさて、近隣の半島や中近東アラブ諸国での国際問題が取りざたされるなかで、わが郷土おきゃ〜まは、今年も平和で好天でハッピーな正月を迎えることができした。

「なにがハッピーかって?」そりゃぁあなた、自分には祖国があって不自由なく祖国の地で暮らしている、そんな境遇に偶然にも人間という生命体で生れ落ちたという幸運でしょうね。

ところで、おとうさんは○○年まえの七草粥の日に生まれたらしい。
生まれた当日の記憶は定かではありませんがね......。なんと、その十日後、あの鉄人、いや哲人!モグラさんがどこかでお元気な産声を発せられたそうな。おそらく、あの体型からしてこちらは随分難産だったに違いない。
(そんなことないか(^_^;)ごめん!)

プチホテルは植木の色形、屋根や壁の色からイタリアの雰囲気が伝わってくる。


そんなことで、おとうさんはあのモグラさんより10日間だけ???
兄貴分になる。\(^_^;)オィオィ!あのなぁ〜!!

しかし早いもので、今年でたふたふ○○歳を迎えました。
人生、年取るにしたがって一年一年が細切れに小さくなってゆく。
20歳の人で1/20、30歳の人で1/30、おとうさんの場合1/○○だんだん小さく小さくミクロになってゆく。

正月になると、「今年こそ!」と言ってきましたが、ほんとに今年こそは、一発大当たりのくじ引きを当てて人生有終の美につないでゆきたい、と真剣に思うのですが。
なに?ん?もう手遅れじゃとな?? ガ〜〜〜ン!(@_@;)

☆ 「祖国」の民が「祖国」の民である証明「七草粥」。

 今年、松の内が明ける日の朝、あのイヴリンさんのお宅では、ご主人釣村氏ともども、おごそかに「七草粥」を口にされ、健康祈願をなされた由に風の便りがありました。(当HP、1/7BBS発)

正月三が日が済めば、朝はトーストにアメリカンと相場の決まった我が家のしきたりから思うに、なんと雅やかで公家さん風で、わが国の伝統ルールをきちっと遵守なさっておられる、厳格なお家柄を改めて羨ましく思いました。

日本人だから、七草粥を食べる、食べさせるという家風は、日本人だからこそであって、そのような習慣を遵守することが、「あなたは日本人であって、絶対にアメリカ人ではない」と言わせる原点だと思いました。

このような日常のしきたりが次第に消去されて、どこの国の人間だか分らぬ奴、無国籍な輩がはびこる、これ以上いやな日本にはしたくありませんね。

プチホテル「ラ・フランチェスカ」の庭はイタリアの田舎 トスカーナ地方の様式に造られた。


☆  「葡萄の郷」 ふるさと(祖国)は遠くにありて...?

エントランスの門扉につたうクリーム色の薔薇が美しい。


 「カウベルさん、これってあのイタリア映画をもじったタイトル<ヘルプ1>じゃあございませんかぁ〜?」

昨春、YB岡山から配布された「オフィシャルガイドブック」でおとうさんの登録頁をご覧になった前出のイヴリンさんがおっしゃった。

イヴリン、釣村ご夫妻は、我が庭が初めてオープンのとき、ご夫妻で来てくださって以来、YB岡山が取り持つご縁で楽しく庭交流をしていただいているメンバーさんである。

よく伺ってみると、彼女こそおとうさんをしのぐ映画通だった。その後「トト」という花苗を見つけたと言って家の庭に届けてくださったりした。
黄色い花弁の愛らしい花で、暑い夏の間中花壇で咲きつづけた。
その花を見るたびに、シチリア島を舞台にしたあの映画の主人公(第3話その5をご参照)を思い出していたものだ。

昨年10月中旬の或る日、おとうさんは我が父親の生まれ故郷である県北の勝山に出かけました。目的は葡萄苗の注文だった。
勝山といえば、中国山系の山懐にあり、文豪谷崎が逗留したこともある、清流旭川のせせらぎが聞こえる、ふるさと情緒たっぷりの町である。

岩の祠には聖母マリアが祀られて欧州の田舎で見かける光景がある。

親父はこの町はずれで生まれ、10代の頃故郷を離れて、勉学、就職、結婚と異郷で暮らし、滅多に勝山に帰ることはなかったといいます。
同じ県内の南北で異郷といえばやや大げさかもしれませんが、当時の鉄道では片道に半日以上はかかっていたということですし、今でいえば東北地方か北海道ぐらいの距離に匹敵するでしょう。

さきほどの映画のはなしで恐縮ですが、あのトトが故郷を離れて30年ぶりにシチリアの地を踏むという話を連想します。

「ローマとシチリアは飛行機で1時間なのに、それでもおまえは帰ってこなかった」と母はおだやかに優しく言います。
「ぼくはここ(故郷)に帰ってくるのが怖かった。なのに帰ってみれば昔のままで何も変わっていない...」とトトはその思いを母に打ち明けます。

母親の懐に抱かれたように温かい故郷、いつまでもそこに居座ると、わがままな小さい自分の殻から抜け出せない、そんなジレンマを断ち切るためか?
はたまた、よほどの辛い思い出を忘れるためか? 
諸般の事情があって、男という者は生まれ故郷(祖国)を捨てるのであります。

このような場合、「よほどの事がない限り敗北者となって故郷の地は踏まないぞ!」と決断してしまいます。
わかる?この気持ち!ん?わかるって、さすがご同輩\(^o^)/!
それにしても男はつらいよなァ〜!まったく。

「新緑の季節にいらっしゃってくださればもっと庭が素的です」とオーナーさん。

 さて、勝山の町外れ、がきの頃、親父に連れられて鉄道の駅から長い道のりを歩いてたどった親父の故郷、道端には月見草の花が咲いていましたね。

あれから、もうゆうに30年はおろか40年以上が経ちました。
あの頃、山間に広がっていた稲田はみごとに「ニューピオーネ」<ヘルプ2>の葡萄畑に変わっていました。
おとうさんはどうしてもこの葡萄、わが家の庭に育てたいのですね。


☆ 「祖国」があるから「異国」に憧れる!トスカーナの庭に聖堂の鐘が鳴る。

 昨年の11月中旬、おとうさんは所用で九州の州都、「福岡市」に出かけることになりました。今回は債務超過で運営が危ぶまれているあの「ロード公団」に、いささかでも支援が出来ればとの考えから、「九州鉄道の旅」はやめにして、わが愛車を駆り出すことにしたのです。

そうなれば空いた助手席には誰が?というはなしに成りゆきとして発展いたしましたが、最も身近な同居人が、無償でその権利をお譲りくださいとの要請に、運転手はしぶしぶ従わざるを得ませんでした。(^_^;)

聖フランシスコ・ザビエルは町の井戸端で布教した。

そんな経緯から、休暇も兼ねた小旅行とあいなります。
道すがら、立派な公団ロードをフルに利用して、時には横道に、時にはフェリーボートをと気の向くままに3泊4日、約1千キロを走破しました。

第1日目、横道にそれて、長州の州都「山口市」にたどり着いた時です。
街のほぼ中心、亀山公園の一角にあるザビエル教会の鐘の音が頭上から降りてきました。
<カラ〜ン>!<カラ〜ン>!と響く特有の音色に、またしてもあの映画を思い出したのです。

 「男はつらいよ」の映画の中で、山田洋次監督が日暮れの情景に、お寺の鐘の音を効果的に使うように、ジョジェッペ・トルナトーレ監督は、教会の鐘の音を使っています。
「静と賑」「陰と陽」「仏と基督」「東洋と西洋」「夜と昼」「男と女」etc....?
なんだか同じ鐘でも、音色とリズムで対照的な趣がありますね。

その亀山公園の登り口で、イタリア情緒あふれる素的なリストランテを見つけました。オーナーさんはイタリアの田舎、トスカーナに滞在した方で、建材等すべて現地から取り寄せるなどのこだわりは、建物や庭を拝見して、なるほど!と納得してしまいます。

さっそく、おとうさんは同乗者のお伴でそのホテルのリストランテに入り、トスカーナのランチをオーダーして庭に出てみました。
その時、またしてもこの「トスカーナの庭」全体に、教会の突塔から響く鐘の音が鳴り渡ります。<カラ〜ン>!<カラ〜ン>!<カラ〜ン>!

                             (つづく)

<ヘルプ1>
「オフィシャルガイドブック2003」でわが庭のタイトルを「ニューピオーネパラダイス」(葡萄が実る楽園)としました。
葡萄の産地イタリアの感動した映画「ニューシネマパラダイス」にあやかったものです。
庭のタイトルは、庭づくりをいっそう楽しくしてくれます。ところで、「YB岡山」は今年から、年会費制としてスタートを切り、目下会員募集中です。
引き続いて今年も庭づくりに精を出し、「YB岡山」の楽しい仲間の皆様方に牽引していただこうと張り切っています。

<ヘルプ2>
ピオーネとはパイオニアという意味のイタリア語で、マスカットと巨峰との交配によってつくり出された紫黒色の大きな顆粒の葡萄ですが、さらに改良を加え種無しで食べやすくした品種を「ニューピオーネ」といいます。




(その1)「祖国」とは何だ! (その2)庭園を愛してきた国だからこそ<上>
(特別編)後楽園とポール・スミザーさん

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お待たせしました。カウベルさんの新作「喰いしんぼうの A・LA・CARTE!」のはじまり、始まり!!
モグラも大いなる食いしん坊なれど、訳あって、食べたい放題とはいかないこのごろ・・・(;´_`;)
食いしん坊万歳\(^_^)/・・うん?モグラは10日だけ弟かい???(モグラ)

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