「ねえ、TANABEさんちのおうちって、あの黄色い壁の家?」
ある日のこと。こどもの習い事でご一緒していたFUJIWARAさんから、声をかけられました。FUJIWARAさんとは、習い事に来た時にだけ会って、あいさつを交わす程度にしか知りませんでした。
Fさん: 「もしかして、まだお庭はこれから作る予定なの?」
私: 「そう。先立つものがなくてねー。自分でコツコツやってるんよ。でも広すぎて、
素人じゃあやってもやってもシマリがなくって・・・。」
Fさん: 「あのね。自分で言うのって変に思われるかもしれないんだけど、一度うちに
来てみてくれない?うちのお庭えをやってくれた人、すっごくいいんよ!」
私: 「へー。そうなん?」
それまでゆっくりと話したことのなかった彼女が、何か思い切って言ってくれたような気がしました。何だか、彼女の言葉に確固たるものを感じたのです。それにFUJIWARAさんて、いい人そうだし。「行く、行く!」。それが、私の理想ともいえるお庭との運命的な出会いだったのです。
数日後、FUJIWARAさんとアポをとる前に、場所の確認をしておこうと、教えてもらったとおりにFUJIWARA邸をさがしてみました。FUJIWARA邸はすぐにわかりました。
「うわあーーーーーー!」思わず車の中で叫んだ私。気がついたら、おもむろに車から降りて、「ピンポーン」と押してしまっていました!アポもなんにも取ってないのに。(なんて不躾な!イエローブックの皆さんは、こんなことしないでね・・・。)
FUJIWARAさんはいらしてて、快く私をお庭へ入れてくださいました。
緑に輝く株立ちのヤマボウシがそびえ立ち、石造りのパーゴラのエントランス。大胆でいて繊細。そこに広がっていたのは、自由でフレッシュな、美しい雑木のお庭でした。
FUJIWARA邸は洋風の建物なので、流行りのアンティークレンガや、コニファーも使われていましたが、メルヘンチックに走りすぎていなくて、御影石やサザンカなど、和のテイストとも絶妙に交じり合っていて、大人っぽい雰囲気。植栽も、構造物も、とってつけたような、わざとらしさを感じさせません。イングリッシュガーデンにも、コテコテの和風庭園にもなりきれない、昨今の日本の住宅スタイルにぴったりのお庭と思いました。
「これよ!これなのよ!」私は決めました。このお庭を造った人に、うちのお庭を造ってもらうんだ!FUJIWARAさん、ほんとにありがとう。今でも感謝の気持ちでいっぱい。
そして、そのお庭を造った人は、樋口 優さんという人でした。樋口さんと初めて出会ったのは、FUJIWARA邸を訪れてから、半年も経ってからのことでした。(つづく)
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