英国縦断庭めぐりツアー(スコットランド〜湖水地方〜コッツウォルズ)  Vol.8(前編)

    
ウーラートン オールド ホール』
 (Wollerton Old Hall) 後編へ


半年間のご無沙汰でした・・イングランド編のトップを飾るのは「ウーラートン・オールドホール」

 

↓ 「Map」(クリックすると大きくなります)
迷子にならないように、地図を見ながらお出で下さい。


 “英国縦断庭めぐり”、最大のハイライト「ウーラートン・オールド・ホール」にやってきました。
 母屋が建てられたのは1530年頃のこと、もとの庭は、エリザベス朝時代のノットガーデンだったそうです。

1.House Frontage

 夫のジョンさんと、奥さまのレズリー・ジェンキンス(John & Lesley Jenkins)さんが、ここに引っ越して来られたのは1984年8月。早速、家の修復に取りかかりました。その後、新しい庭づくりに着手され、今日まで丹精込めて作って来たお庭です。吉谷桂子さんが紹介した、NHK-BS2の“英国庭園の四季”を、ため息をつきながら見られた方は多いことでしょう。

 今日は水曜日。本来はクローズの日なのですが、私達のためにオープンして下さいました。さあ、ヘッドガーデナーの案内で、広さ4エーカー、19のルームガーデンを、一緒に巡りましょう。
 庭の入り口は母屋の右手にあります。桑の木をくぐると、古いポンプが目に入ってきます。このポンプで井戸水を汲み上げていたのでしょうね。
3.The Yew Walk

 庭の入口は、以前、カエデ(Acer)が沢山植えられ、エーサー・ボーダーと呼ばれていました。ジェンキンス夫妻によってイチイの並木道になったのです。イチイの並木を過ぎ、門をくぐると“ピラミッド・イチイ”と名付けられた部屋に入ります。
 そこには長い季節を楽しめる“デビット・オースチン”のバラが植えられ、クレマチスやチューリップなど、ミックス・ボーダーになっています。

 レズリー夫人の素晴らしい色づかいは、絵画のような庭です。彼女は植栽計画ともに、造作物の設計もこなしているのです。樫の木で作られた手すりも、彼女のデザインです。
5.Alice's Garden

 ここで眠るのが大好きな猫にちなんで、“アリスの庭”と名付けられました。
 この小さな庭には、コクリュウ(Ophiopogon planiscapus Nigrescens) やシルビアなど、銀と黒、黄と青色のカラースキームが取られ、猫が好きな“柔らかい植物”が植えられています。

 数ヶ月前、ナショナル・トラストからここに着任したヘッドガーデナーとともに、次男“エドワード”も、ガーデナーの一人としてこの庭で働いています。「ガーデニングは親から引き継ぐもの」というエドワードも、小さいときから絵が好きだったそうです。
6.The Daisy Borders

 八角形の“ガゼボ”を過ぎると、ロマンティックな色彩の“デージー・ボーダー”が目に飛び込んできます。ピンクや赤色の鹿の子草(Valerian)、カンパニュラやタチアオイ等が、夏を謳歌しています。

 レズリーさんはNHK-BS2の放映で、「1種類のバラでは寂しいけれど、多すぎても取り留めがなくなる。」と言われていましたね。デージー・ボーダーには、そんな言葉の通り、さりげなくバラが植えられていました。
7.The Rose Garden

 “レズリー・ジェンキンスさん”お薦めの、ローズ・ガーデンにやってきました。アルケミストを絡めた鉄製ゲート「生きている門」を通り過ぎると、バラの薫りが漂ってきます。

 奥に見える“コテッジ”は、ジェンキンスさんが最も好きな場所で、中には広い農地を、少しずつ開拓していく写真が飾られていました。それを見て感激のあまり、涙を出す人もいましたっけ。

 ローズガーデンには、43種類のバラとともに、ボタン(Paeonia)やディアスキア(Diascia)などが植えられています。
8.The Cottage Garden

 ローズガーデンの突き当たりが“コテッジ・ガーデン”です。小さな、小さな“ポタジェ”ですが、装飾のみならず実質的な機能も持っています。

 真ん中の支柱には、みどりのおじさんお薦めの“紅花インゲン”が、その左下には“ルビー・チャード”、手前の葉先が赤いレタスはサニーレタスかな?
 赤い野菜で、見事にまとめています。

 格調高い“ウーラートン・オールドホール”に、有機無農薬で作るポタジェの“コテッジ・ガーデン”が似合います。
9.The Croft Garden

 コテッジ・ガーデンから、いったん外に出て見ましょう。
 庭の右手には、広い牧草地が拡がり、羊たちが草をはんでいます。

 緩やかなカーブに沿って芝生の小道を歩くと、柔らかな“グラス類”が、頬をくすぐります。
 房の飾りを付ける、“ノルウェー・カエデ(Norwegian maples)”が生い茂り、早春に黄色の花穂を付ける“キブシ(Stachyurus)” や、“スイカズラ(Heptacodium miconioides) ”が植えてありした。
10.The Croft

 クラフト・ガーデンのもっと奥、東の方向に歩いて行くと、そこは畑(Croft)になっています。

 「1992年に開発された」と、パンフレットに書いてありました。野生の花やシダ、苔むした石・・・自然が織りなす見事な庭です。
 特に、秋の色が見事だそうです。

 ずいぶん庭を散策してお腹がすいてきました。そろそろお昼にしましょうか?
14.The Lime Allee

 中央の通路から、ライムの並木道を通って、ティールームに急ぎましょう。

 ここは丁度、庭の中心にあたる場所で、主要な景観を構成しています。春にはライムの足下に、ビオラやチューリップが咲き乱れるそうですが、初夏には、いくつものランタンが置いてありました。
 初夏の夕べ、ローソクを灯して見る庭は涼しげでしょうね。

案内していただいた“ヘッドガーデナー”

南の牧草地には、羊の群れが・・

2005/3/26 みどりのおじさんから「西洋イチイ」について教えていただきました。

モグラさんのサイトからリンク先のウーラートンを訪ねてみたところ、ガーデニングを始める前の写真がありました。
20年でこれだけのガーデンに作り上げたとは・・・すごい!

そこにも紹介されている西洋イチイ(Taxus baccata)ですが、枝がだらしなく横にはびこる日本のイチイ(Taxus cuspidata)と違って葉が密で、枝が上に伸びていく性質の品種もあり、大変魅力的なのですが、寒さに弱く北海道では雪から出た部分が傷み、よく育ちません。(泣)

こちらでは、イングリッシュガーデンに似合わないという偏見から、ばさばさと切り捨てられています。おいおい、地元の木を大切にせんかい(−−#)

ところで、岡山ではイチイは利用されているのでしょうか?

※乙姫さんからの情報によると「倉敷 チボリ公園」に、西洋イチイがあるそうです。
参加された皆さんのコメント集“前編”
 二十近い庭の小部屋の入り口をくぐるごとに、秘密の花園が突然あらわにされます。趣の違う部屋の床敷、壁紙、調度品、美術品を見るようでした。(Aさん)

 庭のスペースを、イチイ(一位)の木や植物で区切り部屋に仕立てた庭(ルームガーデン)で、カラーと種類の選択が見事でした。
たとえば赤いバラ、赤いモナルダ、銅葉色リーフの中にイエロー、オレンジ色のアキレアの花、ビビッドなコーディネートは、まるで色彩のマジックを眺めている様です。ホールではマダムにもお会いでき、サンドウィッチと紅茶を頂いて、お腹も大満足でした。(Oさん)

 古い中古の農家に越してきた女性とそのお母様とが、だだっ広い農地を徐々に開拓していく様子のアルバムを見て感激。えつこ姫と話をしていたら突然涙が出て来ました。こういうのを「感涙」って言うのでしょうね。(Sさん)

 如何でしたか?モグラの下手なコメントよりも、ウーラートン・オールドホールの素晴らしさを伝えてくれるコメントでしょう。
レズリー・ジェンキンスさん

 優しい笑顔で、お茶とサンドウィッチをサービスしてくださいました。

Wollerton Old Hall
Wollerton Market Drayton Shropshire
TF9 3NA ENGLAND
Tel:(01630) 685760,Fax:(01630) 685583

Public opening times:Fridays, Sundays and Bank Holidays, 12 noon to 5pm

Admission prices:Adults £4, Children £1.
RHS members free in April, May and September.

訪問日:2004/07/07(wed) 天気:晴れ時々曇り
HP:http://www.wollertonoldhallgarden.com/

たいへん長らくお待たせしました。“イギリス縦断庭めぐり”半年ぶりの再開です。
あまりにも素晴らしいウーラートン・オールドホールは、到底、1ページでは語り尽くせません。
残る庭は“後編”をお待ち下さい。・・・(モグラ)


  訪問日程表  (1)ハモンドさん  (2)ブランクリン  (3)グリーンバンク  (4)ゲイルストン  (5)インバレスクロッジ
(6)マレニー  (7)ビーチグローブ  (8)ウーラートン前編  後編  (9)デビッドオースチン  (10)ルガース
 (11)ウィズリー  特別寄稿“旅の半ばで”  “湖水地方の思い出”  
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