英国名園&プライベート・ガーデン巡り2008(9日間の旅) Vol.5
『グレスガース ホール』 (Gresgarth Hall)
4日目 |
6月25日(水曜日) 「マクドナルド・リーミング・ハウス(Macdonald Leeming House)」で朝食後、コッツウォルドへ モーニングコール(MC) 6;30、荷物の集荷時刻(BD)7;30、朝食(BF)7;00〜 出発(DP) 8;15 今朝は早めの出発 英国庭園会屈指のデザイナー自邸「グレスガース ホール(Gresgarth Hall)」訪問 移動の途中は、旅のご褒美「チッピン・カムデン」に立ち寄って見学とお買い物 母娘三代で作る庭「キフツゲートコート(Kiftsgate Court)」に訪問 スリーウェイハウス(Three Ways House) 【チッピン・カムデン泊】 |
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いつもより早めの出発……。今日は、湖水地方からコッツウォルドまでのロング・ドライブです。ホテルからM6を80kmほど南下してランカスターへ、さらに一般道(A683)でケートンまで走ります。 今日、最初の訪問先は、イギリスでも屈指のガーデン・デザイナー「アラベラ・レノックス=ボイドさん(Arabella Lennox-Boyd)」のカントリーハウス。(モグラが、今回のツアーの中で最も楽しみにしていたお庭です。) ランカシャーにある「グレスガースホール」は1330年に建てられ、1978年、アラベラさんの夫がこの地方選出の国会議員になったのを機に購入しました。この古風な館にもペレ塔があり、イノシシが門番をしています。(覚えていますか?レーベンスホールにもあったペレ塔ですが、スコットランドとの国境近くに、幾つか見られます。どうやら、外的の侵略を守る軍事基地であり、政府の中心部であったようです。) |
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今日もイケメンのガーデナーさんが出迎えてくれて、「皆さん、最も良い時期に来られましたね。バラも見頃ですし、ゆっくりごらん下さい。」と嬉しいお言葉を掛けられました。 この庭は、アーティー・ベック(Artie Beck)と呼ばれるルーン川の支流を挟む川の両側に作られています。谷あり小高い丘あり・・雄大な自然に恵まれ囲まれ、その自然を巧みに取り込みながら作られています。 18世紀に増築されたという半円形の窓は、川を見下ろす絶好のロケーションに作られています。その縁を飾るオールドローズと宿根草。見事なカラースキームです。(ガーデナーさんが“最高のシーズン”と言うだけあって、うっとりと時間を忘れる程に見事です。) |
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ローマ生まれのアラベラさんは、幾何学模様を使ったフォーマルガーデンがお得意なようです。その後、イギリスでイングリッシュガーデンを学び、自然な感じの植栽とともに、ランドスケープガーデンも得意とするようになりました。グレスガースホールは、この二つの伝統が融合した様式と言えるのでしょうか? ←フォーマルガーデンに見られる左右対称にカットされたイチイの生け垣の中に拡がるボーダーガーデン。 ↓小石でデザインされたミルキーウェイには、4つのコーナーに、十二宮図(Zodiacs)が配置されています。(十二宮図って!なに?・・辞書を引くと、占星術で使われる12の星座だそうです。・・・いやぁ〜勉強になります。) |
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何故、モグラはこれほどまでに「グレスガースホール」に執着し、どうしても!行きたかったのか? これには、ふかい、深い訳があるのです。バスの中でも皆さんにお話ししましたが、イエローブック岡山が今日あるのは、BISES(ビズ)の支えがあってのこと。特に、編集長の八木波奈子さんには、ひとかたならぬお世話になっています。 「私の部屋 ビズ」の時代から愛読していた●×▲姫が、1994年早春号に掲載された「イエローブック片手にイギリス庭めぐり」を見つけ、夏号の「この季節、日曜日はいつも庭めぐり」と題した八尋和子さんの署名記事に興奮し、「いつの日か?オープンガーデンが出来たら良いね!」と言ったことから、皆さんとの出会いが始まったのです。(そういえば『憧れのイングリッシュガーデン』著者でもある八尋和子さんが、今年5月5日に亡くなられました。ここに謹んでご冥福をお祈りします。) |
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1999年、ご近所3軒で初めてのオープンガーデン。翌年、岡山版イエローブックでBISESガーデン大賞「ガーデン・サークル部門」を受賞。2002年、ある会社から「商標権に重大な関わりがある」との訴えに対しても、わが事のようにご心配を頂きました。(だからこそ、今日も“イエローブック岡山”という名称に、こだわっています。) そして2004年早春号、“オープンガーデンの仲間たち「イエローブック岡山」の手作りの庭15軒の物語”が特集されたのです。(「話が長ぇなぁ!・・・早よ、先へ進めよ!」との叱責にもめげずに、もうチョット待ってね。) この早春号の巻頭を飾ったのが「霧けぶる谷間の園」と題したグレスガースホール特集だったのです。ちなみに、写真と文は、アンドリュー・ローソンさんでした。(あれから苦節、十数年!やっとこの日が訪れました。(;´_`;) ←「デザイナーの技と遊び心がぎっしり詰まった魔法の園」と書かれた、この池に立つことが出来たのです。) |
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あこがれの「グレスガースホール」に来られたのも、多くの皆さまのご支援があってのこと。八木さん、ガイドの古川さんはもちろんのこと、メンバーの皆さんのご参加がなければ、この地に立つことは出来ませんでした。(今回も26名という多くの皆さんにご参加頂き、本当にありがとうございました。と目が潤んで来たと思ったら、急に、雨が降り出したようです。) ここには、庭全体を見渡せる“秘密の場所”があります。川を渡って、丘を登りきると庭全体が俯瞰(ふかん)できるのです。その丘へ向かう皆さんを、芝の広場から写しました。色とりどりの傘が緑に映え、楽しそうな笑顔が見えてきそうです。(あぁ〜〜、来られてヨカッタ!) |
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グレスガース(Grasgarth)とは、古代スカンジナビア語で"Boar Yard"イノシシの庭を意味します。庭のあちこちにあった猪の彫刻は、この語源に由来したものでした。 私たちは、アラベラさんが最初に作った「メインガーデン」を抜け、川沿いを歩きながら奥の方へと向かいます。館の近くは“フォーマル・ガーデン”が多かったのですが、遠ざかるにつれて“ワイルド・ガーデン”になっていきます。ヒマラヤの青いケシやプリムラが咲き、斑入りの大きなギボウシも見られます。川辺にはポールヒマラヤンムスクが満開でした。 13世紀頃から使われていた“ミルヤード(水力製粉所)”を抜け、途中、古い建物の“氷室(ice house)”を見ながら、“キッチンガーデン”へと向かいます。 |
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脱線しすぎたせいか?スペースも残り少なくなってきました。キッチンガーデンの素晴らしさは「瀬戸内くらし 英国庭園訪問記6 グレスガース・ホール」で、お楽しみ下さい。 アラベラさんは、欧米の資産家や有名人の庭づくりを担当しつつ、ガーデンファニチャーのデザインもしています。この地方は、寒くて雨が多く、庭づくりは大変なようですが、30年という歳月を掛けながら、12エーカーの庭を作り続けました。この庭は、キッと!彼女の最高傑作だと確信しています。彼女の庭づくりに掛ける情熱が、私たち、見る者を感動させるのでしょうね。(チェルシー・フラワーショーで、何度も“ゴールド・メダル”を受賞するなど、輝かしい実績を持っています。今年(2008年)受賞した「The Daily Telegraph Garden」は、和風庭園をテーマに受賞されました。) |