憧れのイングリッシュガーデンとモネの庭をたずねて  Vol.10
    カントリーサイドの魅力
『Cotswalds(コッツウォルズ地方)



 

 イギリスに向かう飛行機の中、聞くとはなしに聞いていたムード音楽。
その途中、「コッツウォルズ」の魅力を、素晴らしく、そして簡潔に表したナレーションに出会いました。
 何度も、何度も聞きながら書き留めたそのナレーションをご紹介しましょう。

      JAL Jet Stream 「Around the World」より

その、なだらかな丘を歩くと、旅人は懐かしい時間に出会えるかも知れません。

イギリス・オックスフォードの郊外に広がる丘陵地帯「コッツウォルズ」
かつて、人々が馬車と運河で旅をした時代に栄えたこの土地は、
鉄道の時代に忘れられ、150年前の“のどかな時間”の中に
今も、静かに佇んでいるのです。

16世紀に建てられたというホテルに泊まり、
18世紀の教会の高い塔から聞こえてくる鐘の音に目覚めて。

朝、緑の野原を歩けば、鱒が泳ぐ、澄んだ小川のほとりに、
蜂蜜色の石で造られた家々が現れます。
何時しか旅人は、まだ世界が美しい夢を見ていた時の中に迷い込んでいくのです。

そう、菜の花畑のかたわらで、羊たちが草をはみ、
小川のせせらぎには、雛を連れた水鳥が遊ぶ、コッツウォルズの春の水辺。

草の上に腰を下ろして、水面に映る淡い青空と白い雲をみつめる旅人は、
そこに一人の子供の姿を見つけて、そっと、背後を振り返ります。
でも、そこには誰もいなくて、ただ、まどろむような春の光が輝いているだけです。


 コッツウォルズはロンドンから西に200kmほど行ったところに広がる、美しい丘陵地帯。
北は、ストラットフォード・アポン・エイボンにほど近い「チッピング・カムデン」から、南はバース近くの「カッスル・クーム(Castle Combe) 」まで。およそ160kmに渡っています。

 ここは13〜14世紀に羊毛産業の集積地として栄え、裕福なウール商人はこぞって美しい家を建てました。家に使われた“ライム・ストーン”は永い年月を重ね、その“ハニーカラー”は風雪を感じさせる、味わい深い色に変わりました。

 かつての繁栄が残した、美しく素朴な遺産は、それをそのまま慈しみ育ててきたイギリス人の心でもあります。
私たちが訪れた“コッツウォルズ地方”の風景をご堪能下さい。

↓ 「Cotswalds Map」(クリックすると大きくなります)


ストラットフォード・アポン・エイボン(Stratford-upon-Avon)
 中世の木造建築。1階より2階、3階と、上に行くほど道路にせり出すよう作られています。
チッピング・カムデン(Chipping Campden)

 まっすぐな道の両側にライムストーンの家並みが続き、町の中心辺りにマーケットが建ち並びます。

 その中心部から20分ほど郊外に歩くと、絵に描いたような“かやぶき屋根”の家並みが忽然と現れます。

 屋根上部の模様で、茅を葺いた職人がわかると言われる特徴ある“屋根模様” →

↓どこのお宅もフロントガーデンを美しくかざり、道行く旅人を慰めてくれます。
ブロードウェイ(Broadway)

 コッツウォルズの中心地ブロードウェイは、その名の通り広い一本道が、まっすぐ通っています。中世から交通の要所として栄え、駅馬車が往来していた町です。

 今、一般車は通り抜けできないようになり、徒歩でのんびりと散策できます。遙か遠く、丘のあたりまで散策してきました。
ストウ・オン・ザ・ウォルド(Stow-on-the-Wold)

 「ストウ・オン・ザ・ウォルドには、冷たい風が吹く」と言われます。コッツウォルズで最高の標高を誇る240mのこの地は、かつて羊毛マーケットとして賑わってきました。

 村の中心には広場があり、周辺にはライム・ストーンの家が並びます。30以上ものアンティークショップが建ち並ぶスクエアに掲げられた十字架は、“マーケット・クロス”と呼ばれ、公正取引のシンボルです。
バートン・オン・ザ・ウォーター(Bourton-on-the-Water)

 美しい川の流れに、5つの石橋が架けられ、白鳥や鴨が泳ぐ土手に座って、のんびりと日向ぼっこ。

 リトル・ベニスと呼ばれるこの村には、17世紀頃に建てられた家々が並びます。屋根窓のある、急なスロープの屋根がこの地域の特徴です。
バイブリー(Bibury)

 コルン川の清き流れに鱒が泳ぎ、白鳥が遊ぶ。詩人“ウィリアム・モリス”をして「イングランドで最も美しい」と言わせしめた村、バイブリー。

 坂道を、一歩一歩と上がっていくように並ぶハニーカラーの家並み“アーリントン・ロウ”→

↓コルン河畔には、蔦の絡まるスワンホテルや、教会など楚々とした美しい家並みが。

Photograph by Ms.T.Nishizaki
オックスフォード(Oxford)

 コッツウォルズから東へA40を走ると、学生の町オックスフォード。

 その街並みは、その長い歴史を感じさせる伝統や文化を色濃く映し出しています。オックスフォード大学はたくさんのカレッジで構成され、多くの学生たちの若さや活気あふれる街です。

COTSWOLDS

英国政府観光庁HP:http://www.uknow.or.jp/
http://www.visitbritain.com/jp
 
イギリスに到着してから4日間、コッツウォルズ地方をのんびりと散策しました。
夏ともなれば観光客も多く、村の中心地に車の乗り入れを禁止している所もあって、ツアーではなかなか見る機会が少ないようです。
普段、ゆっくり見ることが出来にくい“ヴィレッジ・ホッピング”をかなえてくれた、ガイドの古川さんに、感謝!!・・(モグラ)



  訪問日程表 (1)サン・ハウス (2)ベス・チャトー・ガーデン (3)ハドスペン・ガーデン (4)シシングハースト
(5)ヒドコートマナー (6)ブレナムパレス (7)キフツゲートコート (8)アン・ハザウェイ (9)モネの庭 (10)コッツウォルズ
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