2008年 秋号   2008年9月発行

  
  ◆目次

    ※ 庭めぐりレポート
       イギリスは楽しい!<アンドリュー・ローソンにシャッターを切らせた男>
       初夏の蓼科バラクライングリッシュガーデンを訪ねて
       “ガーデンアイランド”北海道の庭めぐり<紫竹ガーデン,上野ファームへ>
    ※ チーム・イエローブックへのお誘い
    ※ 事務局よりお知らせ
    ※ 編集後記
        

※ 庭めぐりレポート
イギリスは楽しい!<アンドリュー・ローソンにシャッターを切らせた男>
   写真と文 TDさん

色と光の魔術師、
アンドリュー・ローソン氏

 イエローブック岡山主催の「イギリス庭めぐり」(サブタイトルが“これでファイナル?”)も今回で4回目、6月21日〜29日の日程で総勢26名の参加で行われました。岡山空港から韓国経由でロンドンへその日のうちにオックスフォードへ・・・。
 翌日より各地の名所やプライベートガーデンを巡り、湖やピーターラビット、ワーズワースで有名な湖水地方まで北上!湖畔にひっそりと佇む全40室のプチホテルで2泊。料理も景色も部屋もexcellent!
 長い夜は(10時ぐらいにならないと暗くならない)バーやパブで至福の時間を過ごし、昼間は多様な庭を見学させていただきました。旅の後半はコッツウォールドの「キフツゲートコート」。情報不足でびっくりした「アビーハウス」

 そして、雑誌「ビズ」の表紙や巻頭の写真担当する、イギリスNo.1の写真家アンドリュー・ローソン氏の自邸「ゴシックハウス」を訪れました。
 ここでハプニング!ひょんなことからローソン氏直々にマイカメラのシャッターを押して頂きました。プロ写真家はそんなことは通常絶対しないそうです!ただただ感激です。

庭も小さいながらもアイデアがいっぱいで完成度が高い。どこを撮っても絵になります。

 最終日の前夜は、ロンドン市内のChineseRestaurantで宴会を行い、大いに盛り上がりました。ちょっと飲みすぎて翌日は朝がつらかったですが…。最終日は各自でミュージカル鑑賞や市内観光など行い、全員無事に岡山へと帰って参りました。

 今回の旅行“サウンドオブミュージック”にも負けない、モグラ夫妻の苦悩により作り出された最高傑作!!でした。
 “またまたファイナル”なんてあるのでしょうかね?*旅の詳細はイエローブック岡山のホームページイギリス旅行めぐり」をご覧ください。



※ 庭めぐりレポート
初夏の蓼科バラクライングリッシュガーデンを訪ねて
   写真と文 Ishiharaさん


 7月2日の朝、バラクラのオープンを待ちかねて駐車場の横のチケット売り場に立つ私の胸は弾んでいた。石段には寄せ植えのコンテナ、上からこぼれる南国風のカラフルな花々が出迎えてくれる。エントランスを仰ぐと、真っ青な空に大きく枝を広げたゴールデンアカシア、目を奪う黄金の姿はまるでクイーンアカシア!と呼びたくなる。

 幾つもの丸いハンギングバスケットの吊られたテラスからはバラクラ庭園が一望され、広がるグリーンの彼方には白いパビリオンが臨まれた。芝生の白樺の木々はこの地が信州の高原であることを思い起こさせる。テラスの正面の見えるハーブガーデンは私の好きなパステルカラーで彩られ、花々の間に並べられたベージュのフラグストーンはさながら夢の小道。今、遠目にぼかしのように流れるアルケミラ・モリスの淡い黄色の色合いが、何よりこのコーナーを好ましいものに印象付けていると思うのは私の好みのせいであろうか。
 
 テラスの横のパーゴラをくぐり、板塀沿いのボーダーガーデンを行く。板塀には白い小薔薇のランブリング・レクターが這い、一重の濃紺のクレマチスは幾つもの花を咲かせ、波のうねりのような曲線を描きながら花びらの輪郭をくっきり浮べている。足元にそよぐ淡いブルーのネモフィラの何と可憐なことか。
 
 ピンクの薔薇が絡むガゼボを過ぎて広がるライトグリーンのあちらこちらに、スーッと首を伸ばす紫のギガンジュームが可愛い。アーチの下に続く細く白い道。今むきだしのアーチに華やぎはないが、いつかキングサリの黄色い花房の下を歩いてみたいものである。
 
 大きくうねって続く枕木の並ぶ山野辺の道がまたいい。かかりのシェードガーデンには、苔むした石が小さな谷間をつくり、羊歯類やギボウシの葉陰をチョロチョロとかすかに水が流れる。ほの暗い木陰に不意と現れたニッコウキスゲの黄色に嬉しくなる。
 
 枕木のパーゴラが高く続く通りも好きな場所の一つ。だが時期早く、頭上にこぼれるピンクの薔薇ドロシー・パーキンスの豪華な姿はなかった。白いランブリング・レクターが覆うレースガーデンはその名のように清楚な空間を演出し、中央に立つ女性像が爽やかな風を運び、優しく包み込む。それぞれのエリアにはそれぞれの魅力があり、この庭のどこをさ迷っても裏切られることがないのが嬉しい。
 
 庭園を見渡す黄緑のパラソルの下に席を取り、八角形の木造りのテーブルにコーヒーを運ぶ。花の香りに包まれ、高原の風の中に味わう贅沢な時間にも終わりがある。
 去り難いバラクラを思い、コーヒーのほろ苦さを舌に確かめつつ、<今>という一瞬を噛みしめる。またゆっくり訪ねたい、いつかきっとまた。その時、蓼科のイングリッシュガーデンは私にどんな顔を見せてくれるのだろうか。
 
              平成20年8月 記

<事務局よりお詫び>
 Ishiharaさんのレポートですが、Ka*rin*Kaの掲載は紙面の都合で、一部を割愛させていただきました。
 ホームページには全文を掲載させていただきました。謹んでお詫び申し上げます。