カウベル母娘の「庭めぐり旅日記」

第1話 ルイス・C.ティファニー庭園美術館を訪ねて出雲路の旅(その4)




▼L.C.T庭園の全景



☆ 異文化を愛した外国人に捧げたい英国庭園。



 オープンしたばかりのL・C.T庭園の、ご当地認知度は予想に反して低かった。
高い入場料の決定問題で、開園が遅れたこともイメージダウンに繋がったかも知れぬ。「だが、しかし..?」カウベル師は自問する。

 出雲松江にゆかりの小泉八雲(※)は日本伝統文化をこよなく理解した。それは八雲にとって異文化である。ご当地の伝統文化はこの外国人によって見事に伝承されてきたとも言える。なれば地元氏こそ、八雲に対する畏敬の心で、八雲と少なからず因縁のある英国伝統文化に目を向けてあげてもいいのではないか。

 「イングリッシュガーデンってなんですか...?」くだんの地元氏の発言がまたしても庭師の頭をよぎるのだ。


▼日本一!神話の国の落日。左に嫁が島が浮かぶ。
2001/5/11/PM19:02撮影

☆ 落日に間に合うのか?十津川の計算。
 異文化への関心はさておき、わが国の古風な趣や風流を大切にする出雲の土地柄には庭師も魅かれるのだ。夕日なんて珍しくもないが、旅の途上で「日本一の夕日」と聞けば捨て置けないカウベル師である。「今から行かれると間に合いますよ!」かの地元氏がお勧めだ。

 ここ浜田から松江までJRの時刻表をみると略々120キロの距離である。特急「くにびき」は1時間32分で松江に着く。時速80キロの計算だ。
 信号で止まる自動車の平均速度から、所要時間は2倍約3時間はかかると推側した十津川警部を気取る庭師は、浜田から国道9号を松江に向けて、カウベル母娘を乗せた車のハンドルを大きく右に回すのであった。


旅の思い出「流木の作品」

☆「砂の器」

江津の手前に広大な海岸がある。車を止めた庭師はオーナーを残して娘とその海岸に下りる。目的は庭や室内の飾りにする流木の採集である。

 起伏のある砂浜を日本海の荒波が洗っている。その情景に目をやると松本清張の推理映画の1シーンが頭に浮かぶ。(※ 砂の器
 不治の病に冒された父親に手を引かれた幼子の主人公が、雪の降る出雲の海岸をさまよう場面だ。哀愁のピアノ曲を演奏しながら主人公がそれを回想するラストシーンは、思い出すだけで涙が溢れる。荒波の音はその哀れさを際立たせるようだ。そんな浜辺の砂山を父娘は流木をさがして彷徨う。童心にかえった2人には忘れかけていた郷愁のひとときであったのだが、辺りには「砂の器」ならぬ、ハングル文字のある「ポリの容器」がやたら漂着していて興醒める思いだ。(つづく)




※ 小泉八雲(ラフカディオハーン)
http://www.toyama-u.ac.jp/tya/library/harn.html


※ 砂の器
http://www.tcp-ip.orjp/~ume3/essays/suna_no_utsuwa.html


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宍道湖を夕日が赤く染めて・・・「嫁が島」の夕日は日本一
いよいよ近づいた、L・C.T庭園への道・・・。・・・・(モグラ)

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