英国縦断庭めぐりツアー(スコットランド〜湖水地方〜コッツウォルズ)  Vol.6

    
マレニー ガーデン』
 (Malleny Garden)


イギリスをもっと知りたきゃ、歴史探訪を!
 前回の“アーサー王”伝説が、あまりにも好評(?)でしたので、その続編を!(読者の皆さま、モグラの戯言でござります。ご迷惑でしょうが、お付き合い下され。あっ!お急ぎの方はスキップして本文へ)

 ローマ軍が撤退した後、5世紀半ばには北海沿岸から“アングロ・サクソン人”が侵攻し、先住民族は辺境に追われ、7世紀初頭にはアングロ・サクソン人がイングランドを統一します。(当初、ローマ軍に抵抗するために雇った傭兵でしたが、母屋を取られた訳ですわ。)金髪、青い目、長身の彼らこそ、イギリス人のルーツです。
 では、調子に乗ってイギリスの歴史をまとめてみました。↓
年 代 西 暦 主な出来事・建築様式
先史時代 BC5000頃〜 「ストーンヘンジ(BC1850)」
ローマン・ブリテン AC43〜5世紀初 「バースのローマ浴場、ハドリアヌスの城壁」
アングロサクソン時代 449〜11世紀半 ウェセックス王国がイングランドを統一 
ノルマン王朝 1066〜12世紀半 ウィリアム1世が礎を築いた「ロンドン塔」 
プランタジネット朝 1154〜14世紀半 ヘンリー2世即位、百年戦争(1337)
ランカスター朝 1399〜15世紀半 バラ戦争(1455〜1485)
ヨーク朝 1461〜15世紀後 チューダー朝様式(15〜16世紀)
「ハーフティンバーなど」
チューダー朝 1485〜16世紀末
スチュアート朝(1) 1603〜17世紀半 スチュアート朝古典主義(17〜18世紀)
「ブレナムパレス、ハンプトンコートなど」
共和国 1649〜17世紀半
スチュアート朝(2) 1660〜18世紀初
ハノーヴァー朝 1714〜19世紀後 ジョージ朝様式(18〜19世紀)
「エジンバラのニュータウンなど」
近代〜現代 1907〜 ネオ・ゴシック様式/ヴィクトリア朝様式
(19〜20世紀)「国会議事堂など」

 エジンバラからフリーウェイ“A70”を南西へ10kmほど走ると、ベラーノ村(Balerno)に着きます。その村の東にマレニーハウスがあります。1589年に建築と言うから“チューダー朝様式”だったのでしょうか?

 そして1634年(スチュアート朝)、キング・チャールズ1世の建築家であった“ジェームズ・マレー卿”がこの土地が取得。その後、1647年には、ウィリアム・スコット→エディンバラ弁護士→トマス卿→ギブソン・カーマイケル→エアシャーからアーチボルド・プリムローズ・・・と続き、1823 年にジョージ王朝時代の応接室が作られたました。1968年、ゴア=ブラウン・ヘンダーソン夫人からNTS(ナショナル・トラスト・スコットランド”に寄付され、現在に至っています。(あ〜〜、しんど。(‥;)

 大型バスでは入れないような森の小道を歩き、壁づたいに歩くと、小さな入口が見えてきます。ゲートを入ったトタン、巨大なキノコ型のイチイ、しかも4本が行く手を阻むようにそびえています。(樹齢400年だそうですので、え〜っと、400年×4本=1,600年?・・違うって!(^^;)☆\バキ)その高さは電柱ほどもあったでしょうか。

 3エーカーの広さを誇る“マレニー・ガーデン”ですが、数人のガーデナーで維持管理されています。今日は、出張中のヘッドガーデナーに替わって、奥さまが案内をしてくれました。

 「私は、パートタイマーの庭師なの!」と、屈託のない笑顔が印象的な奥さまでした。「2年に1回、バケット車を借りて主人が剪定するの」と言われていましたが、入口の真ん中に、いったい、誰が植えたんでしょうね。

↑写真をクリックすると入口から見たイチイになります。
 4本の巨大イチイを通り抜け、門の形をしたトピアリーを抜けると、素晴らしい色合いのボーダーがありました。“銅葉メギ”がボーダーを引き締めています。

 この門のトピアリーもイチイで出来ており、綺麗に刈り込まれていました。(イギリスでは生垣に“セイヨウイチイ(yew)”を使うことが多いのですが、樹齢400年を誇るイチイは見たこともありません。日本ではイチイを“アララギ”、“オンコ”、 “トガ”などと呼ぶようですが、正一位、従一位などの高官が儀式のときに持つ笏(しゃく)の材料になることから「一位」と書くそうです。)
 ボーダーの幅は、およそ4mもあったでしょうか?“クレマチス インテグリフォリア”や“ルピナス”など、しっとりと落ち着いた感じに、あでやかさが加わって見事です。

 イチイの塀に仕切られた芝生にエキウムを配した“フォーマルガーデン”も、微妙な色合いを演出しています。(右下の写真)
伝統的手法のハーブ・ガーデンにやってきました。紅花インゲン、サニーレタス、エンダイブなどバリエーションが豊富で、美しい花壇です。 シルバーや紫、黄緑、白斑などいろいろなカラーリーフのハーブと共に、“ルバーブ”の手前に蔦で作った円形のオブジェが・・・
 ヒマラヤスギや、17世紀の“スチュアート朝様式”に刈り込まれたイチイがウォールド・ガーデンを引き立て、シュラブローズから、かぐわしく甘い香りがしてきます。白いバラは“フェリシテ・エ・ペルペチェ”でしょうか?

 そういえばマレニーガーデンは、19世紀、シュラブ・ローズのナショナル・コレクション認定を受けているそうです。

↑写真をクリックすると、“ローンデージー”になります。
 現在“マレニーハウス”には、NTS関係者が住んでおられるそうです。(どうやらNTSのOBらしく、ヘッドガーデナーさんは、この近くに住んでおられます。)このハウスに近くに、ヴィクトリア朝温室があり、スコットランド盆栽協会が盆栽をディスプレイしています。

 そうそう、言い忘れましたがゲートを入って右手の大木に“ロサ・フィリップス・キフツゲート(R.filipes Kiftsbete)”が、頂上付近まで伸びていました。(残念ながら、まだ開花していませんでした。この時期、キフツゲートコートでは咲いていたそうですが・・スコットランドではもう少し後なのか?)
 エディンバラから僅か10kmほどの近郊にある都会のオアシス“マレニーガーデン”。さすが、ナショナル・トラスト・フォー・スコットランド(NTS) “珠玉の庭園”と言われるだけのことはありますね。
 ↓紫のバラは、“ラッセリアーノ”

Malleny Garden
Balerno, Edinburgh, EH14 7AF.
Tel (0131) 449 2283.

訪問日:2004/07/05(mon) 天気:晴れ時々曇り
HP:http://www.nts.org.uk/

ヘッドガーデナーさんは、園芸関係のミーティングで東欧へご出張中。
お会いできなくて残念でしたが、素晴らしいセンスをお持ちの方とお見受けしました。・・・(モグラ)


  訪問日程表  (1)ハモンドさん  (2)ブランクリン  (3)グリーンバンク  (4)ゲイルストン  (5)インバレスクロッジ
(6)マレニー  (7)ビーチグローブ  (8)ウーラートン前編  後編  (9)デビッドオースチン  (10)ルガース
  (11)ウィズリー  特別寄稿“旅の半ばで” “湖水地方の思い出”  
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